提携トラックマンの裏ネタ

―隠れポイントもGET!―
馬質や立地だけじゃない
外厩の西高東低問題


牧場上がりのカリスマ
【Xトラックマン】
【1】先週の馬券指南の話な

先週の馬券指南で触れたけど、実は外厩においても「西高東低」は変わらないって話。

じゃあ、なぜこういう不均衡になるのか?――実は、馬質や立地だけじゃなく、地形の問題もかなりデカいんだよね。

美浦トレセンは霞ケ浦の南側に広がる関東平野。周囲に山が少ないから、坂路までつくろうとすると人工の盛り土で高低差をつくるしかないところが多い。

これがとにかくコストがかかるし、自治体の許可もなかなか下りにくい。ある程度、自然の地形を活かせないと、維持費も含めた長期運営コストも爆上がりになるってわけ。

一方で栗東トレセンは、元々が滋賀県の山あい。周囲は山が多く、山の傾斜を利用して舗装すれば立派な坂路がつくりやすい。とにかく「外厩用地」として開発しやすい地形にあるっていう事情があるんだよな。

たとえば、関西の有名どころでいうとノーザンファームしがらきやチャンピオンヒルズ、グリーンウッド、宇治田原優駿Sあたりは、大規模な坂路を有する。結果、トレセン外でも馬に負荷を掛けた調整がしやすくなる。こうした地形の差も、競馬の勢力図に影響を与える一因になってるんだよな。

【2】リバティアイランド、追悼

先週末、香港から日本競馬界に悲しい知らせが届いた。23年三冠牝馬リバティアイランドの突然の訃報だ。

これだけの競走馬。たとえキャリアが終わったとしても、牧場に戻れることを心の底から願っていた。だが、その競馬ファンの願いは叶わず。そして、遺骨として日本に戻るという結末になってしまった。

俺がやっぱり記憶に残ってるのは桜花賞。先行有利の展開を4コーナー16番手と絶望的な位置取りからの直線一気よ。

もちろん、一番辛く、悲しい思いをしているのは、この馬に携わってきた関係者たちだろう。

昔、悲劇的な結末となってしまったホクトベガ(ドバイWC)に騎乗してたノリさん(横山典J)は「自分の強引な騎乗のせいで自死まで考えた」と語ってたことがある。

それに、サイレンススズカ(天皇賞・秋)に騎乗してたユタカさん(武豊J)も「泣きながら酒を飲み、初めて泥酔した」と振り返っている。

だからこそ、この件について、俺みたいな外野が軽々しく語るべきじゃない。ただ、それでも今回のような痛ましい出来事があると、多くの人が同じ疑問を持つと思うんだ。

どうして骨折や脚の疾患だけで、安楽死という決断を下さなければならないのか。

競馬を長く見ていて耳にする方もいるだろう。サラブレッドはとにかく蹄が重要。「蹄が第2の心臓」と言われるように、蹄のポンプ作用が血液循環を助け、健康な体を保つ(=蹄機作用)。

つまり、脚を1本でも地面につけられなくなると、そのポンプ作用が機能しなくなり、血行不良から合併症を引き起こすリスクが格段に高まる。

その先に待つのは苦痛と長い闘病生活。それを思えば、今の獣医療の現状では、安楽死という選択が馬にとって最善の策とされるのも仕方のないことだと思う。

こうした出来事が起きると議論が沸き起こるが、聖人ヅラをして「馬がかわいそうだ」と言葉にするのは簡単だよ。それならまず馬券を買う。そして、獣医療や引退馬支援の活動に参加する。そうやって、サラブレッドが長く幸せに生きられる道を広げることもできるはず。

少なくとも、馬、競走馬、競馬を愛する者としてできることは後者だと、俺は思ってるよ。

Xトラックマン
大手F出身
Xトラックマン
[牧場上がりのカリスマ]

とある地方競馬場の近くで育ち「物心ついた頃には学校よりも競馬場にいる時間の方が多かった」という根っからの競馬バカ。某専門紙のトラックマンになった後は、あまりの悪待遇に辟易。数年耐えたものの、いつしか「新聞にまともな印を打つのがすっかりバカバカしくなった」となり、仕事は「自分の馬券のため」と割り切りの馬券猛者へと変貌。今に至る。とにかく、情報網は全国区に及び、その幅広さは『チーム暴露』随一。

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